レティナレベルのVR「Pimax Crystal Super」の実力をレビュー!

高解像度と高視野角で究極の映像品質を目指すPimaxですが、その中でも最上位モデルとなる「Pimax Crystal Super」をこの度Pimax VR Japan様よりお借りする機会を得ましたので、今回は現在利用している「Pimax Crystal Light」と比較しながら、レーシングシミュレーターで利用した体験をレビューしていきたい思います!

ちなみに「Pimax Crystal Light」については以前こちらでレビューしてますので、宜しければ合わせてご覧頂けますとPimaxの魅力をより理解して頂けるかと思います。

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Pimax Crystal Superの概要

Pimax Crystal Superには4つのパッケージ構成があり、57PPD/水平視野角120°の高密度モデル、50PPD/水平視野127°(Labsモードでは最大138°)とUltrawide水平視野角140°の高視野モデル、解像度はいずれも3840×3840のQLED+MiniLEDスクリーンを採用した3モデルと、解像度3840×3552にMicroOLED(有機EL)スクリーンを採用し映像美を追求した合計4モデルとなります。

今回お借りしたCrystal Superは50PPD/水平視野角127°の高視野モデルで、レーシングシミュレーターなど没入感を重視するゲームに適したモデルとなっている。

接続方法は有線によるPCVR専用となっており、6DoFインサイドアウト方式を採用する事でベースステーションを必要とせずヘッドセット単体での利用が可能です。

また現在開発中のCrystal Super用Lighthouseフェイスプレートを追加する事で、より広範囲で正確なトラッキングへのグレードアップも可能となるモデルになります。

デザインとスペック

Crystal Superの本体ですがCrystal Lightよりサイズが約30%小型化され、特に横幅がコンパクトになった事で見た目がシャープになり、フロントのRGB LEDバーも相まってより高級感を感じるデザインとなりました。

Pimax Crystal Superの正面トラッキング用センサーカメラ

正面にはトラッキング用のセンサーカメラが4基とRGB LEDバーが設置されている。

Pimax Crystal Superの側面画像

ヘッドセット本体左上部には電源と音量ボタンが備わっている。

crystal superとcrystal light横幅比較

crystal superとcrystal lightの比較。横幅がかなりコンパクトになりました。

重量についてはヘッドストラップを含み、ケーブルを浮かせた状態で計測したところ約978g(同条件でCrystal Lightを計測すると約830g)となり、装着した際の前後バランスはややフロントヘビーと感じました。

しかしフィット感の高い大型のフェイスプレートと幅広の頭頂部ベルト、そして後頭部もしっかりと固定されるストラップのおかげで上手く重量が分散されており、重量の割に不思議と付け心地は悪くなく、座ってプレイするシミュレーター用途では特に問題を感じないでしょう。

またフェイスプレートはマグネットによる脱着式へと変更され、さらにCrystal Superは光学エンジンを交換できるギミックがあり、これにより冒頭で説明した他のモデルの光学エンジンへ変更する事で画質重視、没入感重視などコンテンツに合わせた使い分けも可能です。

マグネット脱着式フェイスプレート

フェイスプレートがマグネット脱着式となり、スムーズな取り外しが可能となりました。

Pimax Crystal Superレンズユニット交換

レンズユニットは本体下部のツメを引くことで簡単に交換可能

ちなみにこの光学エンジンのレンズについてはCrystal Light同様ガラス非球面レンズが採用されているが、Crystal Superは明るさが280ニットへと向上している点とレンズ表面のコートにも違いを感じます。

pimax Crystal SuperとCrystal lightのレンズ比較

上がCrystal light下がCrystal Super。Crystal Superのレンズは少し青みがかったコートが施されています。

次にスペックについてもCrystal Super(50PPDモデル)とCrystal Lightで比較してみます。

Crystal Super(50PPDモデル) Crystal Light
解像度 3840×3840 2880×2880
PPD 50 35
視野角(FOV) 水平方向127°
(Labsモードでは最大138°)
水平方向120°
スクリーン QLED+MiniLED QLED+MiniLED
Local Dimming 有り(2.0) 有り
アイトラッキング 有り 無し
IPD調整 自動(58~72mm) 手動(58~72mm)
フォービエイテッドレンダリング ダイナミック 固定
重量 約978g(ストラップ込み) 約830g(ストラップ込み)
オーディオ DMASヘッドフォン
(キャンペーンにて無償提供)
標準仕様
リフレッシュモード 72Hz/90Hz 72Hz/90Hz/120Hz
価格 前払い価格:149,999円
Prime料金:165,000円
合計金額:314,999円(税込)
前払い価格:116,599円
Prime料金:46,595円
合計価格:163,194円(税込)

解像度の向上、視野角の広さ、アイトラッキングの有無、IPD自動調整など、Crystal Superは完全にCrystal Lightの上位モデルという仕様となっており、そのVR映像の実力については後程じっくりと比較していきたいと思います。

同梱物をチェック

次に同梱されている付属品については、Crystal Lightでは比較的シンプルな内容でしたが、Crystal Superはかなり豪華な仕様となっている。

それぞれの付属品を試した感想としては、私の場合は標準フェイスパットよりも15mm厚フェイスパットの方がピントが合いやすいように感じました。顔の形状は人それぞれですので一度どちらも試してみるのが良いでしょう。

但し目とレンズの距離が遠くなると若干ですが視野角が狭くなる点は注意が必要です。

pimax15mm厚フェイスクッション比較

左が標準フェイスパット、右が15mm厚フェイスパット。

コントローラーについてはおそらくCrystal Lightと同じ仕様かと思います。レーシングシミュレーターの場合あまり使う場面は無いですが、Meta Questと比較すると正直トラッキング精度は少し低い様に感じました。

Pimax crystal superとlightのコントローラー比較

左がCrystal Super、右がCrystal light。

次にコンフォートヘッドバンドについてですが、装着する事でヘイロースタイルとして装着可能になります。ただ私の場合はフロントへの重量を感じやすくなってしまい、またヘッドセットの固定力も弱く感じたので、個人的には従来のベルトバンドスタイルの方が好みですね。

Pimax Crystal Superヘイロースタイル

髪型の崩れや顔面への圧力が苦手な方にはヘイロースタイルへ変更も可能。

最後にDMASヘッドフォンについてですが、こちらは現在キャンペーン期間中の特典としてCrystal Superを購入の方に無償提供されています。私自身オーディオに詳しい訳ではないのですが、素人の私が聞いても違いが分かるほど音質は圧倒的に良くなりますのでオーディオにも拘る方にはおすすめな特典となるでしょう!

Pimax付属品のDMASヘッドフォンへ変更

取替はドライバーネジ1本で簡単に交換可能

多くのVRヘッドセットの場合より快適に利用する為、オプション品を後から購入する事が多いが、Crystal Superでは多くの付属品が初めから同梱されているので、追加費用がかからず自分に合ったスタイルを選べるという点は強みとなるでしょう。

Pimax Playのセットアップ

Pimaxを利用するには「Pimax Play」という専用ソフトが必要となるのでPimax公式サイトよりファイルをダウンロードしインストールします。

インストール完了後はログインする為にアカウントの作成、機器登録の為に注文番号(シリアルナンバー)を入力しアクティベートを完了させ、PCにCrystal Superを接続するとPimax Play側が自動で機器を認識します。

特に難しい事はなく10分ほどで完了するので、初めてVRデバイスを使われる方でも迷わず設定出来るでしょう。

ちなみにこのPimax Playは以前のバージョンではヘッドセットのトラッキングが不安定な部分があり、私自身も悩まされていましたが、現在のバージョン1.41.2では改善されており、レーシングシミュレーターなど激しい動きをしない利用であれば、インサイドアウト方式でも十分実用的だと感じました。

認識まで無事に完了するとCrystal Super本体とコントーラーのファームウェア更新が案内されるので、こちらも更新すればプレイする準備は完了です。

またこのPimax Playではアイトラッキングによる「ダイナミックフォービエイテッドレンダリング」や「GPU Upscaling」などのパフォーマンスを向上させる機能も備わっているので、その効果についても後程比較していきます。

レティナレベルのSuperな映像体験

画素密度を示すPPD50のCrystal Superですが、人間の視力1.0に相当するPPDが約60とされている事を考えると、今回の映像はとうとう人の目レベルの解像度となる。ここからはその映像体験を確認していきたいと思います。

検証するPCスペックは以下の通りです。

OS:Windows11 Home
CPU:Core i5 14500 2.60GHz
グラフィクス:GeForce RTX3080 10GB
メモリ:DDR5-6000 16GBx2(32GB)
SSD:1TB

公式サイトのPC動作環境には「最低」「推奨」「最適」が記載されているが、本機の場合は「推奨」にあたる性能かと思います。

Pimax Crystal Superの第一印象

装着して私が初めに感じたのは280ニットという高輝度による信じられないほどの明るさと、1000個のローカルディミングゾーンへアップデートされた「Local Dimming2.0」による色の鮮やかさです。

pimax crystal superのサンプル画像

サンプル画像をスマホでレンズ直撮りした映像。

試しにサンプル画像を見比べてみましたが見た瞬間に分かるほどの違いがある。なかなかスマホのピントを合わせるのが難しく、室内の照明の反射もあり画像は少しぼやけて見えてしまっているが、実際はよりクッキリ色鮮やかな映像です。

またカメラの倍率を上げて撮影もしてみましたが、それでもメロンの網目までもぼやけることなく見え、Crystal Lightと比較してはっきりと高解像度感も体験できる、まさにレティナレベルのVR映像となっている。

倍率×2で撮影したそのままの映像です。当然スクリーンドア効果は確認出来ません。

それではこれらの映像がゲームによるVR体験にどれ程の違いが出るのかもチェックしていきます。

Crystal Lightとは明らかに違うVR映像

VRを試すソフトは条件を合わせるためにCrystal Lightの時と同様「iRacing」の富士スピードウェイ、車両はポルシェ911 GT3 Rでの比較をしてみました。

ちなみに画質設定については「中」を選択し、この状態をSteamVRのレンダリング解像度100%で確認したところ、片目あたりの解像度が4680×4708と、とんでもない解像度となっていた。

そしてコックピットに乗り込んだ際のVR映像ですが、サンプル画像で比較した時と同じようにCrystal Superはより明るく精彩で、高解像度による繊細さも一目で明らかな違いを感じ、より「リアル」なVR体験が出来る。

pimax crystal superとcrystal lightの比較画像

左がCrystal Super、右がCrystal light。全体的な鮮やかさと鮮明さがCrystal Superの方が高い。

左がCrystal Super、右がCrystal light。黒の表現も良く引き締まった映像。

さらにCrystal Lightと同じ非球面ガラスレンズを採用していながら、周辺領域の解像感も高く感じ、目線だけで映像の端を見た際の映像のボケや歪みも少ない印象を受けました。

またVR体験では左右の目の距離を表すIPDが重要となるが、Crystal Superには自動IPD調整機能が備わっているので、試しに計測したところ私のIPDは60.8mmとなっていた。

実は過去に定規を使い自分でIPDを計測した時は67.0mmだったので、今まで間違ったIPDでプレイしていた事となり、今回正しいIPDに調整出来た事で、鮮明な映像も相まってより3D感が増したようにも感じました。

次に127°に広がった視野角についてですが、それぞれのヘッドセットを付け替えて比較すると確かにCrystal Superの方が視野が広い事に気が付きます。

しかし、これによって没入感やレーシングシミュレーター体験が大きく向上する程ではないと言うのが私の正直な感想です。

その理由としては画像の様にレース中は当然、他の車両と横並びになるサイド・バイ・サイドという状況になるが、127°の視野角ではまだまだ周囲を認識できない部分が多いと感じたからです。

Crystal Superスクリーンショットの画像。

上の画像はコーナーを抜けて正面に目線を映した場面、次のコーナーを考えると右へコースラインを移したい状況。

実際にはサイド・バイ・サイドという状況。

しかし実際には画像の様に右側に他の車両と横並びという状況となっており、127°の視野角やLabs(実験室)モードの最大138°でも真横の車両は認識出来ませんでした。

人間が認識できる周辺視野角は両目で水平180~200°とされているので、他のVR機器よりは確かに視野は広いのですが、人間の目の視野を再現するにはもう少し進化が必要だと思います。

パフォーマンス向上の機能を使い負荷テスト

最後はCrystal Superのパフォーマンスについて検証してみます。

予想通り画質設定「中」(解像度4680×4708)ではかなり高いPCスペックが必要となり、iRacing側のグラフィックを出来る限り低く設定したとしても、デフォルト設定では今回利用したPC環境だと47前後のFPSとなり性能不足感は否めない。

そこでアイトラッキングを利用し周辺視野のみ低解像度でレンダリングする「ダイナミックフォービエイテッドレンダリング」、低解像度でレンダリングした映像をアップスケールする「GPU Upscaling」、そして画質設定でそもそものレンダリング解像度を落としたりと、いくつかのパターンでパフォーマンスを比較してみました。

ちなみにiRacingの起動はOpenXRで行い、「ダイナミックフォービエイテッドレンダリング」はOpenXR Toolkit経由で利用、「GPU Upscaling」はPimax Playにて設定して、FPSの数値、CPU、GPUの負荷、VRAMの使用率をそれぞれ計測した数値となっています。

【デフォルト】
(解像度4680×4710)

FPS:47
CPU:16.7ms
GPU:19.8ms
VRAM:7.4GB(93%)

【ダイナミックフォービエイテッドレンダリング】
(解像度4680×4710)

FPS:55
CPU:13.7ms
GPU:16.9ms
VRAM:7.4GB(93%)

【GPU Upscaling(クオリティ)+ダイナミックフォービエイテッドレンダリング】
(解像度4056×4082)

FPS:80
CPU:8.6ms
GPU:11.2ms
VRAM:7.2GB(91%)

【GPU Upscaling(クオリティ)+ダイナミックフォービエイテッドレンダリング】
(解像度3120×3140)

FPS:90(張付き)
CPU:6.5ms
GPU:7.1ms
VRAM:6.8GB(86%)

この様に映像品質こそ多少犠牲にはなるが確かな効果があり、設定次第では今回使用した「推奨」スペックのPCでもCrystal Superを実用範囲内で利用する事は可能です。

特にCrystal Superのアイトラッキングの追従性は非常に精度が高いと感じ、正直「ダイナミックフォービエイテッドレンダリング」が機能しているのか数値を確認しないと認識出来ないレベルの仕上がりだと感じました。

おわりに

今回の「Pimax Crystal Super」の体験レビューはいかがだったでしょうか?

VR映像については間違いなく世界トップクラスの画質ですし、この性能を活かせるPC環境があり、シミュレーター系の用途で視覚の精細さや没入感を徹底的に追求したいという方には間違いなくおすすめなVRヘッドセットとなるでしょう。

一方でPCスペックがそこそこの場合やコストパフォーマンスを重視するのであれば、以前レビューした「Crystal Light」でも他のVR機器より十分優れた映像となっているので、宜しければこちらも合わせてチェックしてみて頂ければと思います!

■今回Pimax公式サイトでご購入時に「Crystal Super」4000円割引き、「Crystal Light」2000円割引きされるクーポンコードを発行して頂きました。この記事が参考になったと思って頂けたら検討頂ければと思います!

【クーポンコード】
Crystal Super:「kokoro-super
Crystal Light :「kokoro-light

さらに現在公式サイトでは「Crystal Lightアップグレードキャンペーン」も実施中です。期間限定の高額キャンペーンとなってますので他の機器から乗り換えをご検討中の方も是非チェックして頂ければと思います!

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Pimax - 世界的なハイエンド・高解像度VRデバイスプロバイダー

それでは良いレーシングシミュレーターライフをお送りください!

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