前回レビューしましたVRヘッドセットですが、現在販売されているVRヘッドセットの中でもトップクラスの映像である事は間違いないのですが、その性能を活かすには同時に高スペックなPCが必要ではあります。
しかし、PimaxではPCへの負荷を軽減するために様々な機能が用意されており、設定次第ではミドルスペックのPCでもCrystal Superの性能を十分体験できると私は感じています。
そこで今回はiRacingをVRでプレイする際に試したPimax Playの設定と、そして実際にどれ程の効果があったのかをまとめてみました。
ちなみにPimax Crystal Lightにも利用できる設定ですので、こちらをお使いの方も是非参考にして頂ければと思います!
Pimax Crystal Superのパフォーマンスチェック
まずはPimax Crystal Superのパフォーマンスを検証するために、使用するPCスペック、NVIDIAコントロールパネルの設定、iRacingの画質設定をご紹介します。
【PCスペック】
OS:Windows11 Home
CPU:Core i5 14500 2.60GHz
グラフィクス:GeForce RTX3080 10GB
メモリ:DDR5-6000 16GBx2(32GB)
SSD:1TB
Pimax Playバージョン:1.42.1
【NVIDIAコントロールパネル設定】
【iRacing画質設定】
PCスペックとしては現在ではミドルスペック相当の性能ですが、NVIDIAコントロールパネルの最適化やiRacing側ではVR映像の見やすさを優先し極力負荷を下げた設定としています。
まずはパフォーマンスを検証するベースとしてPimax Playの画質「高い」(片目あたりの解像度6240×6280)、リフレッシュレートは90Hz、OpenXRモードで起動した場合の「FPS」、「CPU、GPUの負荷」、「VRAM使用率」、「iRacing側のグラフィック負荷」を測定してみました。
FPS | CPU | GPU | VRAM | 解像度 | iracing G | |
画質「高い」 | 8 | 129.5ms | 98.9ms | 8.8GB 113% | 6240×6280 | 34.8 |
この状態だとFPSは「8」となりCPU、GPU、VRAM全てで完全にスペック不足という状態となり、流石にこれではまともにプレイ出来ません。
ただVR映像については本当に素晴らしく、一度この映像を体験してしまうともうこれ以下の画質ではプレイしたくなくなりますし、VR体験において画質の重要さを再認識させられました。
ではここからはこのVR体験の質を出来る限り落とさずに、PCにかかる負荷を下げる設定をいくつか試していきたいと思います!
Pimax Play 「GUP Upscaling」を試す
始めに試したのは低解像度の映像を高解像度化するアップスケーリングという技術で、Pimax Playの「GPU Upscaling」より機能の設定が可能です。
この設定ではアップスケーリングのアルゴリズムをAMDが開発した「FSR」と、NVIDIAが開発した「NIS」から選ぶことが出来ます。それぞれは色味やパフォーマンスも若干違うので、どちらを選ぶかはお使いのGPUによって使い分けて頂ければと思います。
私の場合はNVIDIA RTX3080を利用しているので相性が良さそうな「NIS」を使用し、画質の劣化も最小限に抑えたかったので「クオリティ」に設定して比較してみました。
FPS | CPU | GPU | VRAM | 解像度 | iracing G | |
画質「高い」 | 8 | 129.5ms | 98.9ms | 8.8GB 113% | 6240×6280 | 34.8 |
NIS「クオリティ」 | 36 | 24.9ms | 18.7ms | 6.8GB 89% | 4800×4830 | 16.9 |
効果としてはFPSが「36」と確かに大幅に向上しますが、これでも快適にプレイするにはまだまだ程遠い状態です。
またアップスケーリング時の画質の劣化具合については、いくつかのパターンでも検証してみましたが、私の感覚としては画質「高い」の状態で「Anti-Aliasing」を×4に設定した場合であればアップスケーリングの設定が「クオリティ」だと画質の劣化はほぼ感じませんでした。
ただ画質設定が「中」の場合や「Anti-Aliasing」をオフにした状態では少々画質の劣化を感じてしまったので、今回はPimax Play画質「高い」、アップスケーリング「None」、「Anti-Aliasing」はオフの状態で設定を詰めていきたいと思います。
フォービエイテッドレンダリングを比較
PCへの負荷を下げる方法にVR映像の中心部分のみを高解像度で描写し、周辺は画質を低下させることでレンダリングの負荷を軽減させる「フォービエイテッドレンダリング」という機能があります。
さらにPimax Crystal Superの場合はアイトラッキングを利用する事で、注視している部分を高解像度で描写する動的なフォービエイテッドレンダリング(ダイナミックフォービエイテッドレンダリング)にも対応しており、設定次第では見ている本人は周辺画質の劣化を認識できないレベルでの設定も可能です。
ちなみにiRacingの場合これらを設定するには従来OpenXR Toolkitを利用していましたが、現在はiRacingのアップデートにより設定項目のVR MODEを「Foveated」に設定する事でソフト側ベースでの設定も可能となっています。
「Percentage Resolution to Keep」では周辺視野の解像度、「Inset Size Percentage」では高解像度で描写する中心のサイズを1%単位で設定が可能です。
FPS | CPU | GPU | VRAM | 解像度 | iracing G | |
画質「高い」 | 8 | 129.5ms | 98.9ms | 8.8GB 113% | 6240×6280 | 34.8 |
Foveated | 55 | 14.4ms | 13.9ms | 6.7GB 87% | 6240×6280 | 11.5 |
ここでも様々なパターンを検証してみましたが、アップスケーリングと同様大幅なパフォーマンスアップとなり、特にアイトラッキングによるダイナミックフォービエイテッドレンダリングの場合は高解像度の中心サイズを低く設定しても、周辺視野が極端に低解像度でなければ走行して不快に感じる事はありませんでした。
また設定して気が付いたのですが以前利用していたOpenXR Toolkitと比較すると、CPUとGPUに掛かる負荷に違いがあり、iRacingの「Foveated」の場合はCPUに負荷がかかりやすく、逆にopenXRの場合はGPUに多くの負荷がかかっていました。
もちろんどちらでもデフォルトの状態よりは負荷は少なくなるので、パフォーマンスを優先するのであれば設定した方が良いですが、CPUやGPUの組み合わせによってはこれらを使い分ける方がより快適な設定となる場合もあるかもしれません。
OpenXR ToolkitでFOVを調整
次はサードパーティ製ソフトウェアのOpenXR Toolkitを使いFOV(視野角)の調整を行います。
OpenXR Toolkitの使い方についてはNaoya Nagai様が非常に分かりやすく解説されてますので、宜しければこちらも参考にして頂ければと思います。
調整は「Field of View」の項目で行います。レーシングシミュレーターをプレイする上で比較的影響が出にくい上下の視野(Up:50% Down:85%)を大幅にカットし、左右の視野(Left:90% Right:90%)は外側だけ少しカットしてPCへの負荷を比較してしました。
FPS | CPU | GPU | VRAM | 解像度 | iracing G | |
画質「高い」 | 8 | 129.5ms | 98.9ms | 8.8GB 113% | 6240×6280 | 34.8 |
OpenXR Toolkit「FOV」 | 43 | 19.7ms | 21.2ms | 6.2GB 68% | 5798×3631 | 19.6 |
解像度が大幅に減少した事でFPSが大きく向上しているにも関わらず、走行時にはほぼ影響が出ないのでパフォーマンス重視での設定の場合は非常に有効な方法かと思います。
ただ極端にUpの視野をカットしすぎるとバーチャルミラーが見えなくなったりしてしまいますので、この辺の調整は実際に試して自分に合った数値を見つけて頂ければと思います。
画質とリフレッシュレートの優先度
最後はリフレッシュレートの設定についてですが、Pimax Crystal Superの場合は90Hz、72Hz、72Hz補間(Lab)、Cyrstal Lightではさらに120Hzの設定が可能です。
もちろんリフレッシュレートの数値が高い方が滑らかな映像となりVR体験の質は上がるので、PCスペックに余裕があるのであれば高い数値に設定すべきだと思います。
但し、ここまで設定して感じた事は映像の鮮明さと映像の滑らかさを比較した場合、画質「中」の90Hzよりも、画質「高」の72Hzのように、映像の鮮明さを優先した方が分かりやすくVR体験の質は上がると感じました。
ちなみにFoveatedとOpenXR Toolkitを合わせた状態で、リフレッシュレート72Hzと90Hzでのパフォーマンスを比較した数値が以下の通りです。
FPS | CPU | GPU | VRAM | 解像度 | iracing G | |
画質「高い」 | 8 | 129.5ms | 98.9ms | 8.8GB 113% | 6240×6280 | 34.8 |
Foveated+OpenXR Toolkit「FOV」 90Hz | 84 | 8.0ms | 9.2ms | 7.1GB 91% | 5798×3631 | 7.9 |
Foveated+OpenXR Toolkit「FOV」 72Hz | 72 | 5.4ms | 9.5ms | 6.9GB 87% | 5798×3631 | 7.6 |
結果としてはFoveatedとOpenXR Toolkitを合わせた状態でもFPSは90Hzには届きませんでしたが、リフレッシュレートを72Hzに設定した場合であれば安定してプレイが可能でした。
感じ方は人それぞれですが、しばらくプレイして72HzでもVR酔いする事が無いのであれば十分利用できる設定かと思います。
おわりに
今回のPimax Play画質を重視した設定ガイドはいかがだったでしょうか?
画質を最優先した極端な設定ではありますが、いずれの設定項目もパフォーマンス向上は間違いなくありますので、設定方法の一例として参考にして頂ければと思います。
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それではみなさんも良いVR体験をお楽しみください♪
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